−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

川村英樹さん

Hideki Kawamura

かわむら・ひでき 
1971年新潟生まれ。89年東京プリンスホテル入社。修業中、国内外のコンクールで入賞。中でも97年クープ・ド・フランス世界大会で日本人初の総合優勝。00年渡仏。ブルターニュの「グランドホテル・テルメスマリーン」で修業。同年アルパジョン・ガストロノミックコンクールのショコラ部門優勝。01年帰国。東京・吉祥寺に「アテスウェイ」オープン。

 
●08年2月号
 川村英樹(上)
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守りに入らず、常にトライしたい



いつだったか、ある料理人が言ったことがある。
塩は怖い調味料だ。ほんの少々多いだけ、少ないだけで、料理全体のバランスが一気に崩れてしまうことがある。
だから塩を使う時は常に真剣勝負なのだと。

その点、菓子づくりと塩はあまり関係なさそうに思われるが、最近は焼き菓子やキャラメルなどに塩を使ったものも増え、にわかに注目されてきた。

塩の薫陶を受けたブルターニュ

川村シェフは、塩の持つ力を知ったうえで早くから積極的に使っているパティシエといえるだろう。
というのも、彼は日本で11年間修業したのちフランスへ赴くが、縁あって紹介された先はブルターニュ地方の四つ星ホテル。
すぐそばには有名な塩の産地ゲランドがあり、この地方のスイーツには塩が関係していることもあって、自然とその薫陶を受けることになった。

「現地で初めてバゲット(パン)を食べた時、つけたバターが実においしかった。お菓子を食べた時もあれっと思いました。菓子づくりには普通無 塩バターを使うのに、ここではほとんど有塩バターを使っていたんです」

修業先のホテルがあるサン・マロは、海沿いの有名な避暑地。夏は涼しいが、今ごろの寒さは非常に厳しい。雨も多く、海風も吹き荒れる。
そんな土地柄ゆえ、全般にこってり濃厚な味が好まれ、しっかりした甘さを引き出すためにも塩を効果的に用いるというのだ。

昔ながらの手作業で作られる、海水のミネラル分たっぷりの自然塩。
そんな塩や有塩バターが、生菓子にも焼き菓子やキャラメルにも使われる。
最初はその味に戸惑ったが、慣れるうちに奥深い味わいを知ったという。

「普通のスイーツは食べた時の甘さがそのまま持続しますが、有塩バターを使うと一口目は普通に甘く、そのうち甘じょっぱくなる。味が変化して、エ ッと思う瞬間があるんですよ。しかも食べたあとまで余韻が残ります」

甘さやコクを引き立てる塩の力

川村シェフにとって、いつしか塩は欠かせない存在に。
ブルターニュ時代に習得した塩の使い方は、帰国して自分の店をもつ際、味の核となった。

その代表ともいえるのが写真のスイーツだ。
ナッツ類とキャラメルサレを流し込んだタルトにショコラクリーム、スポンジを重ね、一番上にショコ ラのシブーストを重ねてある。
シブーストというスイーツは、カスタードクリームとメレンゲを混ぜ合わせるため、普通はふわっと軽いイメージがある。
ところがこれは、わざとメレンゲの比率をぐんと低くして、ねっとりした食感を出しているという。
「そのほうが塩けのきいたキャラメル味とよく合い、ショコラの甘さやコクも引き立てるからです」

それまで正しいと思っていたことも、ところ変わればで、全く違うこともある。
だからこれからも守りに入らず、新しいことも受け入れ、常にトライし、そのときの自分が一番いいと思うお菓子を作りたい、と川村シェフ。

「菓子づくりにとっても、僕自身にとっても、ブルターニュで学んだことは財産だと思っています」

●はみ出し情報 その1 !!
●はみ出し情報 その2 !!
●食べてみました
シブースト層やショコラ層のとろっとした味わいのあとを、
サクサクッとしたタルトの食感が追いかけてきて、心地よい一体感。
塩気のきいたキャラメルと香ばしいナッツ類が全体を引き締める。
濃厚なのに、塩の威力も手伝ってか、なんとまぁ、まったく食べ飽きない。
ああ、今日も幸せ。
タルト・シブースト・ショコラ・オ・キャラメル450円。


●お取り寄せ情報

無塩発酵バターと粗塩を分けて加えることで、ところどころに塩味を感じるよう仕上げたガレット・ブルトンヌをはじめ、これ 以上ないほどしっとり焼き上げたフィナンシェ、大人気のキャラメルまで、全部ショコラ味のセレクトになっているので、バレンタインにもおすすめ。
ショコラ焼き菓子詰め合わせ(焼き菓子7種、キャラメルショコラ1袋)2600円(消費税・箱代込・送料別)。
※上記のほか、4500円のセットもある。
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、
 変更になっている可能性があります。
 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー アテスウェイ

東京都武蔵野市吉祥寺東町3−8−8
カサ吉祥寺2
Tel:0422-29-0888 
Fax:0422-29-0877 
〔営〕11:00〜19:30
〔休〕月曜日
http://www.atessouhaits.co.jp/

撮影:岡山寛司 
企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
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