−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

長島正樹さん

Masaki Nagashima

ながしま・まさき 
1967年神奈川生まれ。服部栄養専門学校卒。東京・成城 「マルメゾン」などで修業後、91年渡 仏。MOF(フランス最高職人)の店「ウラッカ」や「シュヴァロ」のほか、「ル・ トリアノン」、「レイナルド」など各地 で修業。帰国後、東京・日比谷「レ・サヴール」のスーシェフなどを経て、01年、 目黒区に「リュードパッシー」オープン。新宿高島屋パティシェリアにも出店。

 
●07年7月号   
 長島正樹(下)
topへat food についてスイーツノ仕事人へ料亭寿司巻之助についておいしいイタリア倶楽部についていろいろなサイトをご紹介します
川村シェフ(上) 川村シェフ(下) ピエール・エルメ(上) ピエールエルメ(下) 中川シェフ(上) 中川シェフ(下) 山本シェフ(上) 山本シェフ(下) 長島シェフ(上) 長島シェフ(下) 安食シェフ(上) 安食シェフ(下) 堀江シェフ(上) 堀江シェフ(下) 永井シェフ(上) 永井シェフ(下) 柳シェフ(上) 柳シェフ(下) 高木シェフ(上) 高木シェフ(下)
金子シェフ(上) 金子シェフ(下) 辻口シェフ(上) 辻口シェフ(下) 番外編 ピエール・エルメ(上) 番外編 ピエール・エルメ(下) 番外編川村シェフ(上) 番外編川村シェフ(下)

簡単にできる魔法はない



それぞれの店には、ショートケーキ やシュークリームといった定番スイー ツ以外にも、店独自のオリジナルスイ ーツがあるものだ。
ほかの店にはない 名前や形、味だったり、パティシエの 個性や好みが素直に反映されているこ とも多く、そういうものに出合うのが また楽しい。
長島シェフの「ミエル」 もその1つ。見るからにほんわかして 愛らしく、食べる前からやさしい気持 ちになるスイーツだ。

いい素材から、新しいアイデアへ

もともとこのスイーツは、長島シェ フがフランス修業時代に食べ、おいし いなと思っていた「ヌガーグラッセ」 (伝統的なレストランデザートで、ナ ッツやドライフルーツを混ぜ込んだ、 はちみつ風味のアイスクリーム)が原 型だという。

ある日、いいはちみつに めぐり合った際、ヌガーグラッセを思 い出し、溶けてしまうアイスクリーム の代わりにムースにしようと思った。

「新しいアイデアを思いつくときは、 僕の場合、まず素材から入ることが多 いですね」

日ごろからいろいろな素材を味見す る機会も多いが、そのときの味の印象 や、ふっとわいたアイデアなどをすぐ に書きとめておくようにしているとい う。
この習慣は、自分で店を始めたと きから続けており、字やイラストを書 いたノートははや4冊目となった。

「単なる落書き帳ですよ。でも、第 一印象って大事だと思うんです。先入 観がないし、何より鮮烈ですから。時 間の経過とともに、味の印象は変わっ ていくので、そのつど思いついたこと をどんどん書いています」

そんな長島シェフがピーンときた素 材が、ルーマニア産の菩提樹のはちみ つ。
第一印象はどんなだったのだろう。

「はちみつ独特の甘い香りがしなが らも、甘さだけが前面に出ず、ベタッ と舌に残らない。段階的にメンソール 系のすっきりとした香りも感じられま した。この香りは、このスイーツのい いアクセントになるなと思いました」

中にははちみつの甘みとよく合うア プリコット(アンズ)を混ぜ込み、ム ースの間にはアーモンドのスポンジを はさんだ。

これによって、主役の香り や味を引き立てつつ、やさしさやあた たかみも加わったという。完成したス イーツ名には、はちみつのフランス語 である「ミエル」と名づけた。

粘り強さと、妥協しない性格

お菓子の場合は、粉と砂糖とバター。
これらを混ぜていくと、驚くほどいろ いろな形になる。
料理とはまた違った、 より自由で創造性の高いところに魅力 を感じてパティシエになろうと決めた 長島シェフ。

が、根が不器用なので、修 業し始めのころは人の何倍も練習しな ければ、人と同じことができなかった とか。
それでも、できるまでコツコツ とやり続ける粘り強さと、妥協しない 性格でここまでこれたのだという。

「お菓子は甘いですが、それを作る 仕事は甘くはないです。おいしいもの を妥協しないで作るためには、時間も 努力もいるし、簡単にできる魔法はな いと思っています。それでも、僕のお 菓子を楽しんでくれるお客さんがい る。それがうれしいんです」
●食べてみました
やわらかいムースの食感 に、はちみつの甘い香りが ふわっと重なる。それをア プリコットの甘酸っぱさが さわやかに引き立ててい る。ムースの中と上に見え るのは、フランス産の香り のいいアプリコット。初夏 〜夏の時期だけ店に並ぶ季 節限定のスイーツだ。 ああ、今日も幸せ。 ミエル420円。

●お取り寄せ情報
しっとり焼き上げた「ケーク・オランジ ェ・アブリコ」は、オレンジの風味と、 刻んで混ぜ込んだセミドライのアプリ コットの組み合わせ。一方の、カカオの 粒入りガナッシュを用いて焼き上げた 「ケーク・オ・ショコラ」は、ケーキより チョコレートに近い濃厚な味わい。薄く スライスして食べるのがお薦め。 パウンドケーキセット3150円 (消費税、箱代込み、送料別)。
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー リュードパッシー
東京都目黒区中央町2−40−8
Tel&Fax:03-5723-6307
〔営〕9:30〜19:30
〔休〕水曜日

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
Copyright (C) at food All Rights Reserved.