−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

堀江 新さん

Shin Horie

ほりえ・しん 
1967年神奈川生まれ。
大阪あべの辻調理師専門学校卒。葉山 「フランス茶屋」、銀座「和光ケーキシ ョップ・ルショワ」を経て92年渡仏。ルクセンブルグ「オーバーワイス」、ベルギー「パティスリー・ダム」フランス 「エコール・ヴァローナ」などで修業。 帰国後、「ルショワ」のシェフパティシエを経て、01年東京・新宿区に「ラ・ ヴィ・ドゥース」オープン。新宿高島屋パティシェリアにも出店。

 
●07年2月号   
 堀江 新(上)
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何もないところからつくり上げる


バレンタインデーと聞いても、何年も前からちっとも心ときめかなくなっていた私。
贈る相手は毎度同じ夫だ し、もともと私自身もたいしてチョコ レート好きでなかったからかもしれない。

でも今年は違う。
わくわく、ドキ ドキ、ときめいている。
いつだったか誘われて、極上チョコを食べ比べてから、 印象がガラリと変わった。
品種や産地 が異なると、カカオの風味も全く違うことや、甘みや苦み以外に“酸味”のおいしさがあることを知り、目からウ ロコ。
ああ、本気で好きになってしまっ たようである、チョコレートを。

おいしさのポイントは“乳化”


チョコレートといえば、専門店でなくても、必ず扱うパティシエにとって、 まず知らない人はいないというメーカ ーの一つが、フランスの「ヴァローナ」。
かつて、そこで修業する機会に恵まれ た堀江シェフは、チョコレートを深く 知るパティシエの一人。
彼がここで学 んだものは大きかったという。

「たとえば、カカオバターは何度で固 まり、溶けるのか。洋菓子で使う油脂分と砂糖やピュレなどの水分は、どうすればうまく混ざるのか。始めは物理 と化学の法則から菓子を学びました」

“水と油”という、本来は混ざり合わないものが一体化するには“乳化”がポイントで、これが完全にできていない場合、べたっと重く感じるという。
また、軽い味にしたいといって、ただ 砂糖を減らしても、実は軽くはならず、 ぼやけた味になるだけだそうだ。

「もともと甘みと油脂分が洋菓子の基本のおいしさを作り上げるので、僕は砂糖だけ減らすことはしません。きちんと乳化させれば、しっかりとした味でも軽く仕上がるからです。もちろん甘いものの食べ過ぎは体に悪いですが、息抜きにおいしく食べることは、心にいいことだと思うんです」

頭と体、両方で身につけた強さ


ヴァローナでは、一つ一つの素材を分析。
じっくり吟味し、勉強できたこ とで、最もいい状態を把握でき、想像 力も身についた。
それまでは有名パティシエのルセット(レシピ)集めに夢中になっていた堀江シェフだったが、 ここでは自分でルセットを作る力もつ いたという。
理論がわかったうえで、 技術を身につけたこともよかったのだ ろう。
ヨーロッパ修業の締めくくりに 挑戦した「シャルルプルースト・コンクール」では見事優勝!帰国後の本格的な仕事に向け、自信にもなった。
そのときの思い出のスイーツでもあるのが「ラ・ヴィ・バッカス」だ。
味のベースを、チョコレートとオレンジというフランスの伝統的な組み合わせにしたことと、サブレ生地を敷いたことで新たな食感が生まれ、新鮮なイメー ジにつながった。
そのあたりが勝因ではないかと、堀江シェフもいう。

他人のルセットをまねれば、ある程度のものは作れても、それ以上は進め ない気がする。技術力も創造力も、自分の頭と体で身につけなくては、一流にはなれないということだろう。

「何もないところから、自分で形や 味をつくり上げるのがパティシエの仕事。修業中にそのことを学べたことも ラッキーだったと思います」

●食べてみました
ミルクチョコのムースのど こまでもやさしい甘さに、 グランマニエ風味のガナッ シュ、黒砂糖で煮たオレン ジコンフィのほろ苦さが、よ く合うこと!さらにサブ レのサクサク感が加わって、 口の中で一つにとけ合う。 ああ、今日も幸せ。
ラ・ヴィ・バッカス399円。

●お取り寄せ情報
最近見かける、スフレの中からチョコ レートが流れ出すタイプは三つ星シェ フ考案のオリジナルで、実はこれが本 来のフォンダン・ショコラ。溶かした チョコレートをバターや卵とともに乳 化させてテリーヌ型に詰めて焼き、切 り分ける。力強い味わいが特徴のベネ ズエラ産チョコレートを使用。
フォンダン・ショコラ10個入り2777円 (消費税・箱代込み、送料別)
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー ラ・ヴィ・ドゥース
東京都新宿区愛住町23−14
ベルックス新宿ビル1F
Tel:03-5368-1160  
Fax:03-5368-1162
(サロン:6席)
〔営〕10:00〜20:00
(日曜・祝日は19:00まで)
〔休〕月曜日
http://www.laviedouce.jp/

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
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