−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

柳 正司さん

Tadashi Yanagi
やなぎ・ただし 
1954年群馬生まれ。 「銀座三笠会館」製菓部門、「ピュイ・ ダムール」等を経て、フランス料理店 「クレッセント」のシェフパティシェに。 95年の「クープ・ド・モンド」準優勝。 98年、神奈川県海老名市に「パティスリー タダシヤナギ」をオープン。 現在、海老名店のほか、東京・目黒、新宿高島屋パティシェリアに出店中。
07年1月開催の「クープ・ド・モンド」 では日本代表の団長・審査員を務めた。

 

●06年10月号   
 柳 正司(上)
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“おいしい比率”を見つけること



先ごろ世界中で話題になった「ダ・ヴィンチコード」。
この中で、キーワードの一つに使われていたのが“黄金比”という言葉だった。
黄金比とは、人間が最も美しく感じる比率で、歴史 的建造物や絵画に取り入れられていたり、自然界にも多く存在するという。
この話を聞いて、美しく感じる比率があるなら、おいしく感じる比率もあり そう、などと思っていたら、たまたま柳シェフから“構成比率”という言葉が出てきたので驚いた。
モンブランについて、話をうかがったときのことだ。ご存知の通り、モン
ブランは、メレンゲ等の土台に生クリームを絞り、周囲にマロンクリームを絞り出した、比較的シンプルなつくりのスイーツだ。
では、シンプルなら簡 単に作れるかといえば、そうとは限らないらしい。
ことにモンブランの場合、クリームを絞り出す感覚が人によって違うので、ほぼ同じ大きさに仕上げて も、中と外のバランスがほんの少し変わると、味に違いが出やすいという。

「たとえ人と同じ配合で作っても、大きさや形が違えば、まったく違う味になる。味を決めるうえで一番むずか しいのは、“構成比率”なんです」

1つ1つの構成要素を組み立てて自分の作りたい味を目指し、それらのちょうどいいバランスをつかんで、形にしていくこと・
これができてこそ“お いしい比率”が見つかるというのだ・br> 感性と論理、そして自己管理もともとはフランス料理の料理人を目指していたという柳シェフ。
ところが、最初の店で配属されたのは製菓部 門だった。料理修業の前に1〜2年がんばるつもりで始めたが、徐々におもしろさに目ざめ、結局はパティシェの道を選んだという。
その後フランス料理店に移り、同時 に29歳でシェフパティシェに就任。
やる気も自信もあったが、大変だったのは、自分がどういう味を目指しているのかをスタッフにきちんと伝え、実際 に見せていかなければならないことだった。
シェフとして仕事を進めるには、感性だけでなく、論理的な組み立ても大事だと実感したという。
さらにはこ の時期、気づかぬうちにストレスをため込んでいたのか、1年ほどはずっと体調が悪いままだったそうだ。

「みんなをひっぱって、いい仕事をしていくためには、体も精神も含めて、 自己管理がいかに大切か、このとき思い知らされました」

おなかにやさしいスイーツ柳シェフが日ごろ目指しているスイーツは“たとえ食後でもおなかにスッ と収まる”のが理想だ。
食後のデザートに食べるスイーツは、日本人の胃の消化能力を考えると、もたれない軽さとやさしさが必要だという。
この思い は、先のレストランパティシェの時代から変わっていない。

「おなかがいっぱいでも、お年を召しても、おいしく食べきることができる。日本人の味覚や嗜好に合ったお菓 子を作り続けたいんです」

柳シェフのスイーツの“おいしい比率は、味や形の繊細なバランスとともに、日本人の胃にやさしく収まる比率でもありそうだ。
●食べてみました
マロンクリームにはバター や生クリームを一切加えず、 栗のペーストだけ。内側の 生クリームは高脂肪の無糖 タイプを使用。だからこそ、 栗と生クリームのそれぞれ のおいしさが引き立ち、甘 すぎないのもいい!ああ、 今日も幸せ。和栗モンブラ ン、モンブラン 各472円

●お取り寄せ情報
3日間かけて煮込んだ自家製の花豆が ふんだんに入った抹茶のパウンドと、チ ョコチップ、オレンジピール入りのチョ コレートのパウンド。生地や焼く温度に 独自の工夫があり、驚くほどしっとり焼 きあがっている。ル・キイチとデリース ショコラ詰め合わせ/2本入り4,095円 (消費税・箱代込み、送料別)
※パウンドケーキは1本から取り寄せ可。
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー タダシヤナギ
東京都目黒区八雲2-8-11
Tel:03-5731-9477  
Fax:03-5731-9478
〔営〕10:00〜19:00
〔休〕水曜日
(上記は05年にオープンした八雲店。神奈川県海老名市ではマルイファミリー海老名店のみで営業中。もともとの本店(海老名市国分寺台)は現在アトリエとして製造のみを行っている)

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
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