−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

金子美明さん

Yoshiaki Kaneko
かねこ・よしあき 
1964年千葉生まれ。 15歳の時「ルノートル」に入社。その 後、代官山のレストラン「ル・プティ・ ブドン」のシェフパティシェを経て99 年渡仏。パリの「ラデュレ」「アルノー・ ラエール」「ル・ダニエル」やレストラ ン「アランデュカス」などで腕を磨き、 帰国。03年6月、東京・自由が丘に「パ ティスリーパリセヴェイユ」をオープン。
 
●06年7月号   
 
金子美明(下)
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奇をてらわず、基本を大切に


私の場合、昔から好奇心旺盛で、何にでも興味をもつ性格である。
というと聞こえはいいが、習い事でもスポーツでもいろいろやってはどれも中途半 端。
ちゃんと身についたり、続いたためしがない。
自分がこうだから、“この道一筋”という職人気質の人に会うとうれしくなる。
尊敬する。
とはいえ、相手が江戸っ子の職人さんなら、 私など一蹴されてしまうに違いない。

「てやんでぃ。一つも続かねえたぁ、情けねえやつめ」

続けてきた人にはチカラがある。
繰り返し練習を重ね、体に覚えさせている強さと、そして自信がある。

この道26年の、といっても弱冠15 歳でパティシェの世界に飛び込んだので現在まだ41歳の金子シェフも、まさに職人気質の人だ。
はしばしに誠実な仕事ぶりが見てとれる。

あくまでもシンプルに作る

「エベレスト」という名のスイーツがある。
フランスでは伝統菓子と いうほど古いものではないようだが、 おなじみのスイ−ツで、フロマージ ュ・ブランと呼ばれる真っ白なフレ ッシュチーズを使うことから、雪を いただく山(エベレスト)をイメー ジしてつけられた名前だ。

おととしの今ごろ、新たに店で出 す夏向きのスイーツを考えていたシェフは、ふっとおいしかったフランスのフロマージュ・ブランが頭に浮 かび、これを作ることに決めた。
そんな金子シェフのエベレストは、フロマージュ・ブランのムースの中と上にフランボワーズの実をあしらい、フランボワーズを入れて焼いたビス キュイ(スポンジ)でサイドを巻い たもの。
ビスキュイの薄さといいバランスといい、十分計算されたつくりながら、見た目は実にシンプルだ。

「もともとフランスにあったお菓子なので基本は曲げず、あくまでもシンプルに作りたいと思いました」

金子シェフの基本を大切にする姿 勢は、フランス時代にさまざまなト ップ・パティシェのスイーツに接して学んだことだ。
基本配合を重んじながら、さらにおいしくなる工夫を する。
さらに魅力的に見える、新しいフォルムを生み出す。
それが自分のすべきことだとわかったという。
練習を積み重ね、熟練した人ほど、 基本がいかに大切かを知っている。
だからこそ、奇をてらわずに作れるのだなと思えてくる。

おいしいか、まずいかの世界

「つまるところ、お菓子はおいしいかまずいかの世界。あたり前ですが、おいしいものを作るためには、手間を惜しまず、毎日きちんとやり続けることが大事だと思っています」

その過程は、いつも楽しいとは限らない。
つらい時も多いという。

「だからこそ達成感があると思うんです。せっかく山に登るなら、山の向こうの風景を見ずに途中で下りてきてしまうなんてつまらない」

山といえば「なぜ山に登るのか?」 と問われ、「そこに山があるからさ」そう答えた登山家ジョージ・マロリーの言葉はおなじみだ。
その山は、まさにエベレストである。

●食べてみました
フロマージュ・ブランを用 いたムースのなめらかなこ と。うっすら酸味もあるの で、暑い夏にぴったりのさ わやかな味わいだ。サイド に薄く巻かれたビスキュイ は、きめこまやかで軽く、 ムースとのバランスもちょ うどいい。食べ進むと、中 からもフランボワーズの赤 い実が顔をのぞかせる。 ああ、今日も幸せ。 エベレスト450円

●お取り寄せ情報
完熟して、香りも酸味もしっかりあるフ ルーツだけを用いて、一つ一つ丁寧に煮 上げた自家製コンフィチュール(フランス語でジャムという意味)。常時15〜20 種類ある中から、いちご、赤桃、ブルーベリーの3種の詰め合わせ。コンフィチ ュール3本セット3,150円、箱代157円、 計3,307円(消費税込み、送料別)
※このほか、2本セット、6本セットもある。
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー パリセヴェイユ
東京都目黒区自由が丘2-14-5
館山ビル1F
Tel:03-5731-3230  
Fax:03-5731-3235
〔営〕10:00〜20:00
〔休〕無休
http://gioire.com/
※店内に併設のカフェは24席ある。

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
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