−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

辻口博啓さん

Hironobu Tsujiguchi
つじぐち・ひろのぶ 
1967年石川生まれ。18歳より都内のフランス菓子店やフランスのラングドック地方、セット市のパティスリー・ベルダンで修業。その間、各種洋菓子コンクールや世界大会に出場し、3度世界を制す。現在は東京・自由が丘のパティスリー「モンサンクレール」のオーナーシェフほか、7ブランドを展開中。
 
●06年5月号   
 
辻口博啓(下)
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挑戦する勇気、続けるチカラ


今や小学生までもがパティシェという呼び名を知っている。
人気上昇中の職業でもあるが、いったいどんな人がパティシェに向いているのだろう。

ケーキが好きなのは当然として、最後まで細かい作業の連続だから、やはり手先が器用でなければ始まらないように思えるが、意外にも辻口シェフ自身は、あまり器用なほ うではなかったらしい。

「それよりも、人一倍負けず嫌いなこと。あとは持続力かな」

彼自身、この言葉を地でいくような性格なのだろう。
そう思えるのが、米粉だけを使ったバウムクーヘンの話だ。
生地を芯棒に塗って回しながら焼き、何層も重ねると年輪のようになる焼き菓子だ。

通常、小麦粉を使うので、生地をこねた時に固める役割りをするグルテンが含まれるが、米粉にはこの成分がない。

「だから試作の時も、もう少しで規定の大きさになるなと思うところで、ポロッとはがれ落ち、結局は全部パーになってしまう。もう、その繰り返し。なんでこんなことを始めちゃ ったんだろうって、自分をのろったほどでしたね」

何度も何度も失敗したが、あきらめず、仕込み方や火の入れ方などに工夫を重ね、ついに完成させた。

米を見て、ピーンときた

米粉を使うことにこだわったのは、もう一つ理由がある。
以前、米粉を商品化したいという製粉会社の人がやって来て、米を見せられた。

「その時、ピーンときたんです。米は日本の心だ、日本人のDNAに訴えかける素材だって」

チームを組んで開発にあたり、三年がかりでようやく作り上げた米粉だったからだ。
その甲斐あって、しっとり軟らかく、もっちりとした食感のバウムクーヘンができ上がった。

今回、このバウムクーヘンに合わせる提案をしてくれたのが、あんことアプリコットがミックスされたコンフィチュール。

コンフィチュールはフランス語で“ジャム”という意味だが、フランスではフルーツに限らず、野菜やミルクなどを使ったり、ハーブやスパイス、酒類を加えたものも多い。
昨年オープンした店「コンフィチュール・アッシュ」では、季節のフルーツのほか、あんこや抹茶などの和素材を使ったコンフィチュールも扱っている。

おいしく進化していく


コンフィチュール用、ケーキ用を問わず、よりいい素材を見つけるためにも“常に戦っている”という辻口シェフ。

「少しでもいい素材を見つけたら、今以上においしいものを作る。そうやって進化していき、いい意味でお客さんを裏切っていきたいですね」

直感と、そう感じた自分を信じ続け、最大限努力をする。
そして最後まであきらめないチカラ。
パティシェに限らず、どんな仕事にも、夢にも必要なことなのかもしれない。

●食べてみました
米粉だけのバウムクーヘンは今 回初めて食べたが、思った以上 にしっとり。薄い層状に焼き重 ねているにもかかわらず、もち っと軟らかい。コンフィチュー ルは、アプリコットの酸味とあ んこの甘みがグッドハーモニー。 かけて食べれば、シンプルなバ ウムクーヘンに季節感とフレッ シュ感が加わる。ああ、今日も 幸せ。駒沢バウムクーヘン1,575 円、アンコット1,050円

●お取り寄せ情報
こだわりの卵とメープルシュガーを使 用した、なめらかな口あたりのプリン。 コンフィチュールが付いてくるので、 これをかけて食べるのがお薦め。通販 限定で店売りはしていない。 コンフィチュール駒沢プリンギフトセ ット/プリン5個+コンフィチュール1 個セット2,940円(消費税・箱代込み、 送料別)
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。 おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●コンフィチュール アッシュ
東京都世田谷区深沢2-1-10
Tel:03-5752-1051  
Fax:03-5752-1052
〔営〕10:00〜19:00
〔休〕火曜日、第3水曜日
http://www.confiture-h.jp/
※モンサンクレールの姉妹店のコンフィチュール専門店。旬のフルーツを中心に常時30〜40種のコンフィチュールがそろうほか、駒沢バウムクーヘンやソフトクリーム等も扱っている。

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at sfood食プランナー)
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