−谷 あつこの 会いたい、聞きたい&食べたい−

中川二郎さん

Jiro Nakagawa

なかがわ・じろう 
1961年和歌山生まれ。81年東京製菓学校卒。東京「東京カド」などで修業後、91年から東京製菓学校に勤務。研修で渡仏。菓子学 校「ベルエ・コンセイユ」で学び、パリ「ジェラール・ミュロ」「ピエー ル・モデュイ」などで修業。帰国後は 洋菓子科教師。
99年ジャパン・ケー キ・グランプリ優勝。03年練馬区に「キャロリーヌ」をオープン。05年から目白大学製菓学科教授も兼務。

 
●07年10月号   
 中川二郎(上)
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食べる人、食べる時期に合わせて


パイとパイの間にカスタードクリー ムやフルーツをはさんだ「ミルフィーユ」。
おなじみのスイーツだが、十数年前、日本で人気に火がついたころは、カフェに入ると、あちらこちらで ミルフィーユと“格闘”する姿を見か けたものだ。
なにせ普通にフォークを入れようものなら、中のクリームはは み出るわ、パイはつぶれるわで、おい しいけれど食べるのは大変だった。
それゆえ女のコの間には「横に倒してから食べること」「初めてのデートで頼んではだめ」という“ミルフィーユの おきて(?)“も広まったほどだ。

生地をしっかり焼ききること

ところでミルフィーユは、正しくはミルフイユ。
フランス語でミルは千、 フイユは葉を意味し、何層にも折り重 なるパイの層が、落ち葉の重なりに見えることからつけられた名前。
本来の意味からもわかるように、層状のパイが決め手のスイーツだ。

一方、中川シェフにとっては、かつて訪れたフランスで最初に驚いたのが、ミルフィーユのパイ生地の違いだったという。

「日本とは使っている小麦粉もバターなどの乳製品も違いますし、水も硬水なので吸水率からして異なります。 香りも味も、焼いている段階からすべ て違いました。はさんだクリームの味 は濃厚で、パイの食感ときたらサクサ クッではなくバリバリッ!そうでな いとフランスではいいパイと認めても らえないことも知りました」

シンプルなパイ菓子のミルフィーユだからこそ、違いも余計きわだっていたのだろう。
この経験で得たものは、 のちに中川シェフの菓子づくりの考え 方のベースとなった。

1つは小麦粉やバターなどの素材が持つ風味やおいしさを引き出すためには、生地をしっかり焼ききることが大事だということ。
もう1つはフランスの味をそのまま伝えるのでなく、日本人に合う味を作ることだった。

その日その日で変えていく

たとえばフランス人と日本人では、もともとスイーツに求める味も嗜好も違うという。

料理の味付けに砂糖を用いないフランスでは、食後のデザートにはしっかりした甘さや濃厚な味が求められる。
対して日本は、砂糖やみりんで味付ける料理も多いため、食後は比較的あっさりした甘さが好まれる。

さらには、気温や湿度によっても食べたいスイーツや味は違ってくる。

「うちのスタッフは、毎朝全員が予想最高気温と湿度を知っていますよ。 日によって、生クリームの脂肪分を変えたり、ミルフィーユなら季節によっ てカスタードの味も変わります。いつも同じレシピではなく、変化をつけることこそ職人の仕事だと思うんです」

ところで、写真のミルフィーユが通常の形と違うことにお気づきだろうか。
実は、最初から横に倒した形になっている。
これなら食べる前にわざわざ倒さなくてもクリームははみ出さ ず、パイ皮もつぶれにくいというわけだ。
まさにコロンブスの卵!

「食べやすいでしょう?女性に美しく食べてほしいと思ってこうしました。お客さんに喜んでいただくのも、 やはり私たちの仕事なんです」

●食べてみました
フォークを入れた瞬間にバ リッという快音がして、こ の段階ですでに“焼ききっ たパイ”ということがわか る。食感もさることながら、 口の中にふわっと広がるバ ターの風味。茨城・奥久慈 卵使用のカスタードのやさ しい甘さや、いちごの酸味 とのバランスもよく、あっ という間におなかに消えて いく。ああ、今日も幸せ。 ミルフィーユ367円。

●お取り寄せ情報
小麦粉、発酵バターなどの素材の持ち 味を十分引き出した、シェフ自慢の焼き菓子。マドレーヌなどのほか、クッキー生地に、焼いたパイ生地を練り込むことでサクサクした食感も加わったドイツ菓子ゲベックや、ベルギー菓子ゲントなど、珍しい焼き菓子も味わえる。焼き菓子詰め合わせ(18個入り)3200円 (消費税・箱代込み・送料別)。
※上記のほかに、焼き菓子詰め合わせは1080〜4460円まで各種あり。
※スイーツの価格その他の情報は、掲載時のものですので、変更になっている可能性があります。おそれいりますが、直接お店にお問い合わせください。
●パティスリー キャロリーヌ
東京都練馬区春日町6−10−28
Tel&Fax:03-3926-0711 
〔営〕10:00〜19:30
〔休〕水曜日
http://www.patisserie-caroline.com/

撮影:岡山寛司  企画・取材・文:谷 あつこ(at food食プランナー)
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